文化的な生活

本のこと、音楽のこと、日常のこと。

読書感想文を小学生に課す意義

 以前、私の読書歴について書きました。その中で、読書感想文の話が出てきたので、読書感想文について少しだけ書きます。
 
 私は、小学校教育における読書感想文に関してはあまり課すべきではないと思っています。というよりは、小学生に読書感想文を書かせるのはまだ早すぎると思っています。理由としては、読書感想文とは何か、明確な定義を与えず、生徒もどのように書けばいいのかわからないまま書かせることが多いためです。
 
 きっと、夏休み前の最後の登校日に、好きな本を読んできて感想を書いてきてください、という程度のことを言われているだけだと思うのです。私が先生の話をよくきいていなかっただけでしょうか?少なくとも、しっかりと時間を取って、感想文の書き方をレクチャーされた覚えはありません。正直、それだけだったら、
 
題名: 桃太郎を読んで
          おもしろかった
 
これだけでもその条件は充分満たしています。それでなぜか怒られるのです。算数の宿題だったら簡単です。1+1=2です。悩みどころがない。だけれども、読書感想文に関しては、問題の意図するところが明確になっていない。
 
 まずは、なぜ読書感想文を書くのか、どのように書いて欲しいのか、そのことをしっかり伝えないと意味が無いです。たとえば、皆に同じ本を読ませて、おもしろかった一文を抜き出させて、どんなふうに面白かったか、どうして面白かったか、それを書いてきてもらう。きちんと授業時間を割いて、先生がまずはお手本を見せてあげる。そこまで書くことがわかっていれば、喜んで書いてくると思います。
 
 私は現在小学校教育に携わるような仕事はしていません。私の経験でしかありません。現在はいろいろなところが改善されているのかもしれません。私の記憶を思い返すと、読書感想文を書かせてどうしたかったのか、生徒にどんな能力を身につけさせようとしたのか、そのようなことをしっかり考えて読書感想文を課していた先生はいなかったように思います。
 
 これを読んでいる、教職についておられる方がいたら、読書感想文を課す前に、読書の仕方をまずは教えてあげてください。感想文の書き方を教えてあげてください。しっかりと、授業時間を割いてレクチャーしてください。自分が感じたことを表現することは難しくて、読書感想文を書くことはその良い訓練になるのだと伝えて下さい。
 
低年次教育の質が人生を大きく方向づけると思っています。