君は永遠にそいつらより若い/ 津村記久子
津村記久子氏の、太宰治賞受賞作。就職の決まった、22歳処女、いや、女の童貞ホリガイの、妙な人間関係を軸にして物語は展開されます。気だるい毎日の中に、ちょっとしたスパイス、ちょっとした出会い、でも決して日常系といった感じでもないですね。結構ヘヴィな話も、ヘヴィな事件もあります。それに対する主人公ホリガイの行動に、何を感じるか、どう共感できるか、そこが肝の作品かな。
kindleではじめて読んだ本です。
以下読書感想文
一度しか読んでいないが、ホリガイの行動理念に共感できないし、ハッキリと理解もできていない。暴力に対して非常に敏感に反応しているのは確実なのだけれども…しっくりこない。
・そんなふうに、なんでも自分の思い通りになると思っているその心根が許せなかったのだ。
たぶんこの表現が、ホリガイの行動規範をよく表していると思うのだが、なんだろうか、 あんまりしっくりきていない。何度も読めばまた変わってくるかもしれない。
私にとって心揺さぶるようなものではなかったが、ただ、言葉選びのセンスや、所々のユーモアは間違いないものがある。文章自体が非常におもしろいので、それだけでも読んでみる価値はあるかもしれない。それぞれのキャラクターもよく立っているし、読んでて楽しいのは間違いない。
・女としてどうしようもないのなら、せめてそちらの側に立って話ができますよ、といらぬ売り込みのようなことをして、変わったこだ、という印象だけを植え付けてそれで終わり。
主人公のホリガイはこんなキャラクター。
個人的に気に入った表現を残して、いつか二回目を読んだときにまたかこうと思います。
・だいたい男の子はわたしに対してこういう腰の引けた態度を取る。
腰の引けちゃう女の人いますね。ホリガイは身長が高い女の子なのですが、私の知り合いの、身長が高い女性も、こう感じてるのかなとちょっと思ってしまった。
・語るための痛みじゃないか、それも他人の。
なかなかハッとしたセリフ。ここにも何かホリガイの主張を感じる気もするが。
・そのくどさが妙に舶来ものの情緒を醸し出していた。
甘いジュースに対する表現。なかなかキラリと光るものを感じました。